高畑勲の「かぐや姫の物語」。絵、マンガ、アニメの日本の伝統の感性

読書「十二世紀のアニメーション -国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの」高畑勲徳間書店/スタジオジブリ・カンパニー。
平安時代の絵巻物「信貴山縁起絵巻」「伴大納言絵詞」「鳥獣人物戯画」などをアニメ、映画の創作視点から見つめ解きあかす。日本の絵、マンガ、言葉、感性の考察も深い。

高畑勲の「かぐや姫の物語」は、とても美しく感動したけれど。海外評価が驚くほど高くなかったのは、日本画、日本芸術、日本の感性の極みの、余白の美、塗り残す白の美、余韻の美、輪郭と色塗りの技法を極めようとしたことにあると思います。
西欧芸術には饒舌に語り尽くしり尽くし奏で尽くし、表しつくしてこそ優れた価値、そうしないできない限り劣っていて最高のものは伝えられないとの、抜きがたい信仰に近いものがあるとおもいます。
同時に、大人は子どもに優ると考えが根底にあることも影響していると感じます。

日本に育ち生きるひとが自然に感じてしまう、余白の美、子ども心の豊かさ柔らかさへの愛おしみ、を伝統的に感じとれない欧米映画人には、理解できず感じとれなかったのだと思っています。

かぐや姫の物語」を観てからすぐに「竹取物語」を読み返しました。かぐや姫はいつまでも憧れの恋びとです。
高畑勲の優しい童話心、(「アルプスの少女ハイジ」「母を訪ねて三千里」はわたしは今も好きです。

わたしは立派な成人より、子どものほうがかわいいし感情ゆたかでわがままでよく泣くし困らせるけれど、根は優しく目が澄んでいて、純だと、愛おしく感じてしまいます。