詩、定型詩の音数律と韻律のひみつ

詩論家として極め立つことを意思するよりも、実作者に徹することがわたしにもっともできること、したいこと、意思することであるので、論考としての厳密さの探求にはのめり込まず韻律について見出せたことと、書き手読み手としてのこだわりを、感性表現の姿で記しました。

・日本語の詩の韻律は音数律のみという断言はとても貧しい
・音数律のリズムと韻律音色の溶けった音楽旋律
・短歌和歌を三十一の単音リズムの組み立て模型とみるのは貧弱
・詩句に「雪」と記されたとき
「ゆ」と「き」の順に流れる単音ではもうない
・作者にとって「雪」の音と意味とイメージ心象といったいとなって、選ばれた詩語「雪」に溶け込んでいる「ゆ」と「き」  
・くり返す推敲で詩、歌全体、詩句詩語のなかに、いったいになり、なつかしさとともに溶け込む
・読者にとっても詩語「雪」に溶け込んでいる「ゆ」と「き」、初めて読むときだけは単音の連なりでもすぐに「雪」に溶け込んでいる「ゆ」と「き」にさかのぼり変身する
・その詩その歌を愛してしまったとき、一音一音にもなつかしさ愛おしさが響かずにはいない、あたたかく灯る
・それはまるで、美しい人愛しい人の、姿、かおの、忘れられない、瞳、耳たぶ、黒髪の、揺れ動く鼓動、ささやきのよう

詩歌は生きもの、言葉の、鼓動のみではなく、歌、旋律、音楽だと、どれほど深く感じとれるかどうかだと思います。


なき人の
今日は、七日になりぬらむ。
 遇う人も
 あふ人も、
みな 旅びと


釈迢空折口信夫の、心に響く詩、美しい作品です。
※参照 「釈迢空(しゃくちょうくう)全歌集」折口信夫角川ソフィア文庫

この歌は言葉に込められた想いの深さといったいに、韻律もとても美しく。
「人」の三回の詩句三音目でのくり返し、
「な」き人、七日「な」のか、「な」りぬ、の「な」音の頭韻、畳韻、
主調音としてのくぐもった嘆きの音色、
遇う「あ」う、「あ」ふの「あ」音の頭韻、
最終部での、み「な」、旅「たta」の母音あaのこだま、
詩句の並びと句読点が生む間、余白の沈黙。

こころに響くうたは詩、詩は歌
呼び名はささいなこと
わたしの作品は詩であり、短歌であり、響いてゆく和歌でありつづけたいと願っています。


☆詩集です。

詩集「純心花」(じゅんしんか)

   純心花

最新詩集。内容 : 純心音(短詩)、愛(間奏曲)、純粋花(長詩)。
言葉が織りあげる音楽。絵画。詩宇宙。全416作品収録。
絵・渡邉裕美 
出版社 ‏ : イーフェニックス
発売日 ‏ : 2022/3/11
単行本 ‏ : 304ページ
ISBN-13 ‏ : 978-4908112539 インターネット、書店、図書館